日毎に敵と懶惰に戦う

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東京オペラシティアートギャラリー『伊東豊雄 建築|新しいリアル』

初台の吉野家で豚キムチ丼と生野菜で昼飯を済ませ(しかし、最近、ファーストフードの女性店員に中国人が物凄く多い…)、初台の交差点は絶賛工事中。首都高速中央環状新宿線ですね。

東京オペラシティアートギャラリーへ。伊東豊雄の建築展のチケットは、こないだ新宿のチケットショップで買ったのだった。
http://www.operacity.jp/ag/exh77/
台湾の《台中メトロポリタン・オペラハウス・プロジェクト》の計画、それから岐阜の《瞑想の森 各務原市営斎場》を一部原寸大に再現した模型。伊東豊雄の建築物は、有機的なうにうにした外壁だったり、一件無秩序なパターンの組み合わせであったりして、完成したものを見るとまるでそこににょきにょきと生えた植物、動物であるかのよう。
しかし、力学的に綿密に計画されたその構造物の、建築現場は見たこと無いような工法、まるで工法の実験場のような有様を呈している。伊東豊雄せんだいメディアテークの建築現場で感じた、鉄筋が舞い、溶接の火の粉舞い飛ぶ、その現場のダイナミズムってのが、今回、伊東豊雄の展示コンセプトのひとつであるらしい。各務原の斎場の屋根は、白い鉄筋コンクリートがうねっているのだが、その建築、というより土木工事の映像にしばし釘付け。
そんなわけで、次の展示室に移動する。靴を脱ぐ。そこは、その屋根を再現したような白いうねる床面に、いくつかの作品の模型の展示。白い壁には原寸大の図面、モニターでは工事現場の映像。そして、なぜか音楽は石川セリ。おお、これは楽しい。皆さん、思い思いに座ったり歩き回ったりしながら、展示物を眺めていた。素敵な空間。石川セリが歌う『死んだ男の残したものは』…谷川俊太郎の作詞ですね…を聞きながら、スペインのスパリゾートの模型を眺めたり、銀座のブランドショップの建築現場映像を見る不思議さよ。白い壁一面に拡がる図面が、実にもう、お好きな方にはたまらない感じで良いのだった。
せんだいメディアテークの建築現場の映像も面白く、なんというか、大手ゼネコンや建築関係の学会が揃って後援しているのも頷ける、面白い展覧会だった。出口付近の廊下に展示してあった伊東豊雄の事務所の歩み、ってのも面白く、せんだいメディアテークの使いにくそうな設計に美術関係者から不満が…という新聞記事への反論原稿とか、面白いものがいろいろと見れた。この展覧会は、昨日の大竹伸朗と併せてこの秋のおススメです。
収蔵品展もやっていて、こちらは『ブラック&ホワイト−黒のなかの黒』という企画。川内良介の絵が良い、ってか部屋に一枚欲しい。