朝日新聞と産経新聞の楽しい文通、またやってますね。乙です。今回、産経からのお手紙は、沖縄での教科書検定への抗議集会の参加人数についてですが…
拝復 朝日新聞論説委員室さま。9月28日付夕刊の「『産経抄』の良心」と題されたコラムを拝読しました。(中略)
http://sankei.jp.msn.com/life/education/071003/edc0710030254001-n1.htm
貴紙は1面で「沖縄11万人抗議」と大見出しをとり、きのうも「県民大会に11万人が参加した」と書いておられます。でも、11万人は主催者発表の数字です。(中略)
会場の面積は約2万5000平方メートル、つまり160メートル四方に過ぎません。当日の航空写真を見ると空きスペースもあり、どう数えれば11万人にもなるのでしょう。(中略)
関係者によると、参加者は最大で4万3000人だそうです。(後略)
これについては、朝日新聞も主催者発表と断っているし、産経新聞も『主催者発表で11万人』と記事にしているので、まあ、あんまり騒ぐな、とは思います。で、実際の参加人数ですが、今回は警察発表の数字が無いから、迂闊に推測できない。通常、警察発表と主催者発表は2倍〜3倍程度開くもので、今回も『11万人』と『4万3千人』を比べると、さもありなん、な数ではあります。
では、どちらが、正しいのか?多分、どちらも正しくなくて、間ぐらいだと思うんですよね。間といっても、警察発表に限りなく近く…だと思うわけですが。過去のいろいろな集会から、主催者発表人数と警察発表人数を並べてみましょう。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/monthly/koyou/0705.htm第78回メーデー開催される(抜粋)
連合、連合東京は4月28日 11時より代々木公園サッカー場において第78回メーデー中央大会を開催し、参加者は主催者発表で42,200人(警察庁発表25,500人)であった。
全労連や東京地評に加盟する労働組合等から構成される第78回中央メーデー実行委員会は「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」をスローガンに、5月1日 11時から代々木公園サッカー場において第78回中央メーデーを開催し、主催者発表で42,000人(警察庁発表16,540人)が参加した。
第77回メーデー開催される(抜粋)
連合、連合東京は4月29日代々木公園サッカー場において第77回メーデー中央大会を開催し、参加者は主催者発表で43,745人(警察庁発表22,700人)であった。
全労連や東京地評に加盟する労働組合等から構成される第77回中央メーデー実行委員会は「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」をスローガンに、5月1日 代々木公園サッカー場において第77回中央メーデーを開催し、主催者発表で41,000人(警察庁発表19,100人)が参加した。
全労協系の労組を中心とする第77回日比谷メーデー実行委員会は、5月1日日比谷野外音楽堂で「第77回日比谷メーデー」を開催した。メインスローガンは「働く者の団結で生活と権利、平和と民主主義を守ろう」。主催者発表で14,000人(警察庁発表6,500人)が参加した。
5月1日、第23回メーデー。全国400ヶ所以上で110万人の人が集まった。東京では朝から明治公園に約40万人(主催者側発表。警察調べでは15万人)が参加していた。
http://yabusaka.moo.jp/maider.htm
http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2005/09/post_321b.html「30万人」がデモ行進 イラク開戦以来、最大規模の抗議行動 首都ワシントン デモ隊の「海」に(抜粋)
国の首都ワシントンが9月24日、「プロテスター(抗議者)の海」(ニューヨーク・タイムズ紙の表現)と化した。
主催者の予想(10万人)を3倍も上回る、「30万人」(主催者推定。警察の推定でも15万人)もの参加者たちが、イラク戦争の中止を求めて、「ノット・ワン・モア(もう、これ以上、一人の犠牲者を出すまい)」のスローガンを叫んだ。
ベトナム戦争の頃、反戦運動の拠点だったサンフランシスコでは、主催者発表5万人(警察発表2万人)のデモが行われた。
http://www.ilyfunet.com/ovni/1999/437/onenpar.php統一メーデーもコソボ紛争が焦点(抜粋)
5月1日、共産党系のCGT(労働総同盟)と社会党系のCFDT(フランス民主主義労働同盟)が16年ぶりに統一メーデー。パリでは、主催者側によれば3万人、警察発表では1万人が参加したが、NATO軍のユーゴ空爆を支持するCFDTと空爆に反対するCGTに微妙な食い違い。
http://www.jil.go.jp/jil/kaigaitopic/2001_07/franceP02.htmlパリではCGT、CFDT、UNSA、FSUが統一行動 (抜粋)
パリでは、警察発表によると1万2000人、主催者側発表によると2万人が、5月1日の午後、レピュブリック広場を出発した。
http://www.actiblog.com/longan/7313三つの六・四天安門事件追悼集会−香港・マカオ・台北それぞれの六・四の過ごし方−(抜粋)
今年も六・四天安門事件追悼キャンドル集会の季節がやってきた。この日決まって報道されるのは、十七年前に惨劇がおこった北京の天安門広場の平穏な風景と、香港の六・四天安門事件犠牲者追悼キャンドル集会。キャプションでは「数千人」と控えめな表現だが、主催者発表の「4万4千人」はともかく、今年も2万人ほどは集まっていた。(香港警察は1万9千人と発表、香港返還の1997年以降、董建華行政長官執政時代は、警察は六・四集会の参加人数を発表していない)。
【香港の天安門事件追悼集会参加者数動向】
主催者発表 警察推計
2002年 4万5千人 1万8千人
2003年 5万人 1万7千人
2004年 8万2千人 4万8千人
2005年 4万5千人 2万2千人
2006年 4万4千人 1万9千人【7月1日の香港民主化デモ参加者数動向】
http://fukachina.web.infoseek.co.jp/10return7.html
主催者発表 警察推計
2003年 50万人 35万人
2004年 53万人 20万人
2005年 2万1千人 1万7千人
2006年 5万8千人 2万8千人
沖縄関係では、以前にもこんな話も(ただし、“実際の参加人数”に関する明確なソースは無し
http://www.worldtimes.co.jp/j/okinawa/tk060311.html「3万5千人」の謎(抜粋)
在日米軍再編に関して、日米両政府が昨年十月に合意した米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸移設案に対する「普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する県民総決起大会」(主催・同実行委員会)が今月五日午後、宜野湾市の海浜公園多目的広場で開かれた。主催者発表によると、三万五千人が集まったという。
「きょうの朝刊の三万五千人の数字はデタラメですよ。参加した人に何人か聞いたが、皆は、せいぜい五千人か、六千人だと言っていた」
六日の朝、宜野湾に住む知人が興奮した様子で電話をかけてきた。
沖縄県警に大会参加者の人数を尋ねたが、「警備はしたが、人数は把握していない」とのことだった。
六日夜のある会合で、ある自民党県議に県民大会参加人数の話をすると、同議員が警察筋から得た非公式な数字では「多くて八千人」で、三万五千人と発表した主催者側の根拠に疑惑を持たざるを得ない、との答えが返ってきた。
そういうわけで、国内外、時代を問わず、主催者がなるべく多めに人数を発表したがる、警察はなるべく小さめに参加者を発表したがる、というのは変わらないようです。参加者を少なめに発表したがる主催者がいるとすれば、有料入場者数を偽って脱税しようとする主催者か、コミックマーケットの主催者(消防法(ry)くらいなものではないでしょうか。
今回の教科書検定に関する集会は、なかなか沢山集まっているみたいだし、『11万人が参加した』ではなくて『主催者が11万人参加と発表しても(これまでの経緯を鑑みれば)不自然でない程度の参加者があった』ということなのでしょう。
………
それにしても…主催者にしても、適当に鉛筆ナメナメで数字を弾いているとも思えない。いや、かもしれなけど。警察発表とこれだけ乖離する原因はなんなんだろう?
例えば、警察はある特定の時間に会場内にいる人数を概算しているけれど、全員が最初から最後まで参加しているわけではないので、出入り含めた参加者延べ人数はそれだけ多くなってしまう可能性。ことによると、集会が1部と2部に分けれていたとすると、同じ人が参加していても2重計上しているとか(さすがにそれはないか)
あるいは一昔前の共産圏の経済統計と同じ理屈なのかも。各組織がそれぞれ動員をかけて、『何人参加』とか言いますよね。で、それを集計すると主催者発表の数字になるんだけれど、実際にはそんな人数は参加していていない、という可能性。