日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

夜の野毛山動物園

どんな言葉でも、頭に『夜の』とつけるといやらしい感じになってわくわくするが、『夜の動物園』はどうかと言われれば、動物が交尾してる感じにはなるもののいやらしい感じにはならず、しかしわくわくはするわけで、そんなわけだから夜の動物園に行ってきた。ご近所の野毛山動物園。横浜の動物園は、8月の土日に限り、夜8時30分まで開園しているのです
野毛山動物園が夜間開園「ナイトのげやま」-夕涼みライブも - ヨコハマ経済新聞
わりと、全国的にどこでも、夏の動物園夜間開館ってやってるんだな、知らなかった。夕涼みがてら…と言ってもあの坂道を上っていると必然的に汗が出てくるんだけれど、とにかく野毛の山を登って動物園へ


もっと閑散としているものかと思ったらびっくり、家族連れやらカップルやら、なんだかんだでそれなりに人がいる。黒山の人だかり、というほどでもなく、夜の動物園はなんか怖い…と思わずに済む程度には人がいますよ、という感じか。


中には気合い入れて撮影している人もいるものの

高そうなレンズとカメラを抱えたじいさんが場所の取り合いを繰り広げているわけでもなく、というかそもそも、夜だから殊更に動物が活動的で素敵な写真が撮れますというわけでもない。昼も元気な動物は夜は夜なりに、昼は元気のない動物も夜は夜なりに、動いたり動いていなかったりしているというだけの話なので、何か特別なものを期待していくようなものでも無い。とは言え、やはり、夜の動物園というだけで、何やら心躍るものはあるのだった



たとえば自分などは坂道をてぽてぽと5分ほども上ればサンダル履きで辿りつくわけだけれども、ちゃんと電車に乗ってバスに乗ってやってくる人も大勢いるわけで、そうなんだなあ、と。何がそうなんだなあ、なのか、なんだかよくわからないけれど。
先日の三渓園といい、今日のこれといい、たぶん、本来ならば地元の地の利を生かして毎日毎週のように通って貴重なシャッターチャンスをモノにして地方紙の片隅を山の枯れ木のように賑わせたりするのが正しい趣味のあり方なんだろうけれども、しかし自分にはたぶんそういうのは出来ないだろう。そういうのは年齢相応の人にやってもらえばいいだろう。
と言って、私の今の楽しみは自分自身の年齢には相応しないように思われるけれど、だから出来るというわけでもない。年を経て年齢相応になれば出来るというものでもない。このようなことは、若いうちから年齢相応の時に年齢相応のことをやってきた人が年を経るにつれて年齢相応に年齢相応な楽しみを辿ってきた末にたどり着く何物かだ。

熊のオリの前で、動物園の人が、熊の生態について詳しく解説してくれていた。お姉さんの生態についても詳しく解説してください、などと書くと、年齢相応なブログに仕上がります。

昼も夜もサービス精神旺盛なペンギン。一方で、昼は媚態を隠れ蓑にしつつも隠しきれない獣の眼をしているレッサーパンダは、夜は木の上のほうでやる気のないそぶりを見せていた。


オリに入らず、我が物顔で徘徊しているのもいた。なんにせよ、暗いとなんだかわくわくするのは確かなわけで

こういうのが無料で楽しめるのは、太っ腹なことであるな、と。家族連れやカップルも眺めつつ、しかし暗闇で動物に戻っているカップルがいるわけでもないので、閉園時間に大人しく動物園をあとにしたのだった