日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

仕事帰りに、銀座へ市ヶ谷へ、そして三瀬夏之介×池田学対談

7時起床、出社、お仕事。昼すぎに出てまず有明へ。それから、水道橋に出て客先で打ち合わせ。さて、本日はこれまで。
まずは有楽町に移動して、日本会議の街宣がうるさい数寄屋橋を通り過ぎてHOUSE OF SHISEIDO。展示を見るついでにちょっと一休み、身だしなみを整えて。次に、あお!ひーさんも出展しているギャラリーへ
New Year Selection 2011、2位に入賞しました! - あお!ひー
小品で大勢の作者の作品がずらりとならぶと、なかなか壮観でありますね。いろんなタイプの作品が並ぶのは面白い。あお!ひーさんのは、自動販売機のパックジュースだってすぐにわかったよ。その後、SHISEIDO GALLERY に移動し、shiseido art egg の藤本涼展。夢の中の、静寂の中に幻を見るような、目の前にあるんだけれどもつかめない、逃げて行ってしまいそうなもの。とてももどかしく、でも懐かしい。そんな写真は緻密に加工されて作られているという。良かったです。
銀座から地下鉄を乗り継いで飯田橋。昨日で営業終了となった地下鉄構内の自動靴磨機に別れを告げて、御堀端を歩いてミヅマへ。池田学個展
MIZUMA ART GALLERY : 展覧会・イベント
普段は大画面にとめどなく拡張していくような、しかしてその細密さに圧倒される、遠近両用怪しいスケール感の作者の、今回は小さなサイズの作品が多数展示。もちろん書き込みの緻密さは変わらず。拡張に目が行かず、より細部に目がいくようになり、却って引き込まれるような不思議な危うさがあった。これまた良かった。
市ヶ谷の駅前でごく軽く晩飯を食べて、地下鉄でまた移動、新宿三丁目。歩いて高島屋方面、紀伊国屋サザンシアターへ。本日はこのイベントでした
三瀬夏之介×池田学トークイベント 1月14日新宿紀伊國屋サザンシアター - 日毎に敵と懶惰に戦う
サザンシアターは6割程度入っていたかな?スクリーンに写真や作品などを写しながらのトーク。三瀬夏之介さんと池田学さんはともに1973年生れで、ぱっと見、書き込みの細かい大画面の絵ということで、併せて語られることも多い。だけれども、話を聞いていると、まったく違っている点がいろいろ見えてくる。
美大卒業後、高校教師を経て絵を描いている三瀬さん。在学中に溜め込んだイメージを詰め込んだ卒業制作が評価されて、(予備校教師はしつつも)すぐに絵に専念した池田さん。絵に対する意識がそれぞれで異なってくる。
絵に溢れんばかりの隠喩、意味を込めて、それに対して語ろうとする三瀬さんを、うまくかわす感じの池田さん。手元の細かい仕事から順々にイメージが拡大されて、絵が大きくなる。代表的な作品『予兆』は2年がかりだけれど、あるところまでは全体としての波のモチーフもまったく考えずに描いていたと言う。絵を画くことの楽しさ、絵を描くことは自分自身を掘り下げることであるとして、完成された作品と作者が一歩距離を置いた風に振る舞う池田さんに対して、三瀬さんは高階秀爾曰くの『芸術は世界観の拡張』そのままに、やや暑苦しいほどに自作について語ろうとするんですね(今回はあまり語れなかったけれど)
それが今回出版した作品集にもあらわれていて

冬の夏

冬の夏

池田学画集1

池田学画集1

とにかく、自分の制作風景から文章から盛りだくさんの内容にして語ろうとしている三瀬さんの作品集に対して、池田さんの作品集は、ストイックに作品写真ばかりが並ぶ、というわけです。面白い。
朝日新聞の法廷画も描いている池田さんに対して、それと自作の関係は?と質問する三瀬さん。何にもないです、と答える池田さんとか、微妙にすれ違うと言うか、そういうところが興味深い対談だった(笑)でも、ともに絶対に、自分の作品に人の手を入れさせたくないとか、共通する部分も沢山見えてくる。作家がよんどころない事情に制約されて行った作業が、後から必然性を得ることがある、という話とか。というか、なんだかんだ言って、paitingの人はまじめですよね。絵画を仕上げる地道な“作業”が必要なわけで。これが絵画以外の表現の人だと、またいろいろ違ってくるだろうなあ。
時間おせおせで終了し、その後、ほぼ日曜日にもお会いしたメンバーと、近所の中華料理屋で一杯。餃子が美味しかったです。湘南新宿ラインで帰宅