日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

東京都写真美術館『北井一夫 いつか見た風景』『映像をめぐる冒険vol.5 記録は可能か。』

土曜日、朝は野毛山公園まで坂道を上り、6周回のジョギング、4.44 kmを6'10"/kmで。朝の風景

帰宅して朝飯を済ませ、洗濯して干してお出かけ、とりあえず、近所の伊勢山皇大神宮成田山別院には、なにしろご近所ですからね、初詣。うちの氏神様って、伊勢山皇大神宮で良いのか、境内に別に祀られている子神社なのか、どっちなのか…。成田山別院は建て替え中なので、いろいろ商売熱心であった

桜木町から横浜、沼南新宿ラインで恵比寿。東京都写真美術館で、2つの展覧会を見る
東京都写真美術館 北井一夫 いつか見た風景
まず、北井一夫の『いつか見た風景』。展覧会タイトルのシリーズや“村へ”など、地方の暮らしや(今回展示は無いが)湯治場などの写真も良い。良いのだけれど、やはり圧倒的なのは三里塚であり。運動と政治と生活が接触してハレーションしている一コマを切り取った写真に、胸に迫るものがある。
空港絶対反対と大書された納屋のような集会所からにっこり笑って出てくる老婆、ソウルフラワー・モノノケ・サミットのアルバムジャケットにも使われた、団結小屋の前の少年行動隊の集合写真

アジール・チンドン

アジール・チンドン

そして、『代執行の日』という写真の迫力。まるで、植田正治による、鳥取砂丘のスタイリッシュな写真のようなそれは、丘の上に散らばる人々の遠景。よくよく見れば、いままさに、盾を構えた重装備の多勢の機動隊員と向かい合う、腰の曲がった無防備な老婆が数人。長閑なような、緊迫しているような、どちらがどちらに紛れ込んでしまったのか、とにかく不思議な写真。
80年代以降は、自身の近辺のリアルな暮らしを撮った『フナバシストーリー』以外は、郷愁に寄り掛かったようでイマイチ、キレが無いが(それでも、埋め立て前の浦安の写真も悪くない)、前半はとても濃密な内容の展示だったし、これだけの規模の回顧展ははじめてとのことなので、見ておいて損は無いだろうな、と。1月27日まで。
さて、本来の目的は北井一夫であって、もう一つ見るつもりは別になかったのだけれど、ちょっと興味惹かれて行ったら大変なことになってしまったのだ
東京都写真美術館 映像をめぐる冒険vol.5 記録は可能か。
『映像をめぐる冒険vol.5 記録は可能か。』は、毎年シリーズで開催されている『映像をめぐる冒険』の5回目。前回はサイエンス方面の趣味者にとってたまらない内容で、対談も面白かったのだが
東京都写真美術館 映像をめぐる冒険vol.4 見えない世界のみつめ方
写美『見えない世界のみつめ方』対談、『ザ・ベスト・オブ・山種コレクション』ギャラリートークなど - 日毎に敵と懶惰に戦う
今回はまったく、様相を異にする。予期せず、横からぶん殴られてしまった思い。まさかここで、東京都近代美術館『美術にぶるっ! 第2部 実験場1950s』の続きに遭遇するとは。まだ名残惜しい気持ちを残しつつのたっぷり2時間の鑑賞でとにかくぐったりしてしまい、今日の残りの予定はキャンセルされることと相成った。
松本俊夫の言葉ではじまるこの展覧会、金坂健二による、アメリカの暗部をえぐる映像作品がまずあり、さらに国際反戦デー、日大全共闘、日鋼室蘭首切反対斗争、三里塚水俣などなど、そして現代、三里塚の今、軍艦島、福島。一級の映像作品が怒涛のように押し寄せてくる、ちょっとは鑑賞者のことを労わってくださいと泣きをいれたくなる展覧会なのだ。
小川紳介三里塚 第三次強制測量阻止闘争』で、糞尿を体に塗りたくり抵抗する農民、老婆の切なる訴え、鬼気迫る言葉。以前、三里塚についてはこういう本を手に入れたことがあるが
“マルクスもレーニンも毛さんも、百姓とともに働きともに闘う”『私本三里塚』という本がすごい - 日毎に敵と懶惰に戦う
その本で見るときの感想とはまた違う、土地を守りたいという農民たちの気迫が迫ってくる。そしてその映像が流れるすぐ脇で、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ『成田フィールドトリップ』は、現代の三里塚。東京から三里塚にやってきた若者の目を通して映し出される、まるで廃墟のような団結小屋の遺構、高い仮の塀に囲まれた迷路のような道路、巨大な飛行機が行き交い、飛び立つ、フェンスの間の泥の道で、いままだ続く反対闘争…。ある意味、ニュース映像や資料で昔の三里塚は知られているが、現在の三里塚を知るものがどれだけいるだろうか?ゼッケン付けた全学連の若者の言葉に耳を傾けながら、ビラを配る腰の曲がった老婆。どこかのどかで、荒涼とした風景の中をデモ行進が進み、重装備の機動隊が大勢、ピッタリと横をはりつく。警備するのはこの人たちなのだろうか
千葉県警察成田国際空港警備隊 - Wikipedia
幻灯機のコーナーでは、スライド上映される1950年代の作品群『日鋼室蘭首切反対斗争記録 嵐吹きすさぶとも』『にこよん(全日自治・飯田橋自由労働組合制作)』『みんなで守ろう 水俣のたたかい』…民族独立行動隊の歌が流れ、闘争、暮らし、反発、第二組合の離反…これだけで、全部見てたら2時間くらいになってしまう。『ぼくのおかあちゃん』『自転車にのってったお父ちゃん』という、紙芝居のような作品も。制作は東大センツルメンツ川崎こども会、もちろん、扱っているのは労働問題です。
金坂健二、おおえまさのり、宮井睦郎、城之内元晴、小川紳介、中谷芙二子…ドキュメンタリーフィルム史に名を残す人々の映像作品が、とにかくひたすらに流れる、相当にカオスな展示空間に仕上がっているのであり、その最後を締めるのがニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニの映像3作品。三里塚の作品の他に、軍艦島の映像を背景に元住民の証言と、ここで撮影されたバトルロワイヤルの感想が虚実入り乱れて流れる作品、そして、福島からの避難者、福島の今に様々に関わる様々な人達への長いインタビュー、取材を元にして、人々の言葉、顔、風景が、三面スクリーンにランダムに映し出される映像作品…。
とにかく、重くて長くてうっわー…な映像作品ばかり続く、覚悟して行っていただきたい、しかし、『日本の70年代』『実験場1950s』とセットで見てほしい『記録は可能か。』なのだった。
東京国立近代美術館『美術にぶるっ!』展がいろんな意味ですごい - 日毎に敵と懶惰に戦う
こっちも1月27日まで。写真美術館では、是非、北井一夫の写真とセットで。写真美術館のこの『映像をめぐる冒険』シリーズ、石田尚志の作品に驚愕したのも、この中の『躍動するイメージ』だったのだ
東京都写真美術館 映像をめぐる冒険vol.2 躍動するイメージ。
G-tokyoを中心に、自転車で冬のアート巡り - 日毎に敵と懶惰に戦う
毎回、意欲的な企画ですばらしいです。ぐったりして出て、恵比寿の神座で遅めの昼飯。また湘南新宿ラインで横浜に出て、あーツルネンさんいるわ…と横目でみつつ

歩いて、西スポーツセンターのプールで初泳ぎ1.5km。ちなみに私、1時間300円で、着替え5分、準備運動5分、泳ぎ35分、片付け15分、正味で1時間、という感じ。今年は基本週2回、最低週1回泳いで、この時間内で2kmは泳げるようにしたいと思う。また横浜駅に戻り、そごうのロフトでキッチン用の測りを購入。関内で銀行により、スーパーで買い物して帰宅。晩飯は

先日、弘明寺で買った石鎚の酒粕で、鮭と大根、ニンジン、お揚げの粕汁。おいしゅうございました
在華坊(@zaikabou)/2013年01月05日 - Twilog