日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

『春の京都で楽しむ美術』トークで茶の湯と海北友松の話、高島屋『加山又造展』

日曜日、昼からお出かけ。東京駅周辺で用事なので、東京駅周辺で飯を食おうとすると、自ずとインドカレーになるわけです。東京駅周辺は南インド料理の名産地。八重洲ブックセンターの裏手にあるダクシンへ

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店の前まで来たら、今日は貸しきり宴会が入っているので12時ラストオーダーの文字が。今は11時56分。急げ!というわけで店に入り、ランチのミールスを注文

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じわじわくるスパイスの味わい、美味しかった。ここのはガツンと来る系ではなくて、かなり品が良くて、しかし質もよいミールスですね。ちなみにこのビルの2階にあるのがブルガリア料理のソフィア。ここも美味いよね 

急いで食べたのですこし時間に余裕が出来、八重洲地下のキャラクターストリート、ミッフィースタイルに立ち寄り。2000円以上買うとノベルティの歯ブラシ立てがいただけるというので…

その後、丸ビルへ。『春の京都で楽しむ美術』というトークイベントへ。サブタイトルは『桃山 美と戦いの世紀 利休、永徳、等伯、そして友松』です。長い。丸ビルホールは400人くらい?満員。年齢層は高めかな。毎日新聞の主催ですからね。

前半は橋本麻里さんによる、京都の美術案内、展覧会案内。京都文化博物館『戦国時代展』では3月12日まで狩野永徳の国宝洛中洛外図屏風が展示中という件、わたしは以前に、東京国立博物館の特別展京都で見たかな。上杉博物館に行ったときは、ちょっと公開時期がずれてて見逃したのよね 

そして大徳寺聚光院の狩野松栄永徳の国宝障壁画公開は3月26日まで。先日の京都旅行も、これがメインの目的のひとつでした 

確かにこれは現地でぜひ見ておきたいもの。休日の予約はすでに相当埋まってしまっているけれど

予約無しで行っても見られる可能性も、無くもない。保障はしませんが。基本的にJRが確保していることになっている10時20分の回は、当日行くにはオススメかも。保障はしませんけどね。橋本さんいわく『京博トラりんよりかわいい』松栄の虎も見られますよ。

そして、どちらかというと、京都から関連して、東京国立博物館茶の湯』展に関連した話に力が入っており。

利休の行ったことがいかに革命であったか、唐物趣味からコミュニケーションツールへ発展させたか、ハードとソフトの関係性を転倒させる総合芸術(メディアミックス!)であったか。

そして文化だけに留まらず、通貨発行権まで手に入れてしまった危険人物であったか。すなわち、落語「はてなの茶碗」的世界。利休は意図的かつ政治的に、はてな、と首をひねったと。そういうお話。そのあたりは、千宗屋著(橋本麻里編)の『茶-利休と今をつなぐ』からの引用を交えながら 

茶―利休と今をつなぐ (新潮新書)

茶―利休と今をつなぐ (新潮新書)

 

 この本、面白そうなので、こんど読んでみよう。

休憩時間を挟んで、後半は、京都国立博物館の山本英男さんと、橋本麻里さんによる海北友松トーク。京都で4月11日から、海北友松の展覧会がはじまりますね

狩野永徳長谷川等伯とならび称されるけれど、いまいち、海北友松は印象が薄い。友松はもともと狩野派に師事しており、工房の一員だった。師匠は狩野永徳と言われている。

それが58歳のときに狩野永徳がなくなり、半分以下の年の親族が狩野派を継ぐ。さてどうするか。ここで海北友松は独立するわけですね。

そしてそこからは自分の世界を切り開いていく。それまで培ってきた、当時の最高の文化人である中院通勝、細川幽斎、あるいはその門弟の八条宮智仁親王などとの文化的交流が最大限に活かして入り込み、仕事を獲得していく。絵画で彼らの世界観を表現するという、ある意味、文化サロンの一翼を担っていくわけです。ある意味、“絵馬鹿職人”であった狩野永徳長谷川等伯とは一味違うわけです。

そして、一気に花開かせた絵画世界で、時代の最先端を切り開いていく。大企業狩野派を定年退職後に、第二の人生を輝かせた中高年の星、海北友松。というわけ。もちろん今見ても、作品のクオリティはトビキリである。海外の美術館から、そんなエポックメイキングな作品も今回は来日すると。

 なんがか俄然、海北友松への関心がアップしてきて、この春は(も)京都へ行かねば…と思ったのでした。そして、文化を通じた政治への関与、政治の文化への関与という視点から、同じ4月11日にはじまる、京都国立博物館『海北友松』と、東京国立博物館茶の湯』は、補助線を引いて一緒に見てみたい展覧会だな、と思ったのでした。

京都国立博物館は120周年。春の海北友松展に続いて、秋は、国宝200件を並べる空前絶後の国宝展が待っています。東京オリンピックの年にとっておかなくて大丈夫なんでしょうか、京都の東京に対する嫌がらせなんでしょうかw

すっかり堪能して、16時。まだちょっと時間はある。というわけで、その足で東京駅を横断して、日本橋高島屋へ。

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加山又造展~生命の煌き』を見る。

今回はデパートでの展覧会ということで展示スペースも限られるので、竹橋の国立近代美術館所蔵の作品などは無いけれど、さすがご遺族全面協力。個人蔵がとにかく多い。そして、各地の小規模美術館からもよくぞ集めたりな70点あまり。後半には夜桜の迫力ある屏風なども多数。

加山又造のダイナミズム、構成の面白さが存分に味わえる良い展覧会でした。特に『月光波濤』の躍動感には驚愕しましたね…。富士山なども、晴天に映える雪をかぶった富士山が、なんだか恐ろしいような迫力を持っている。

加山又造琳派を意識した画とデザイン性は、祖父が四条丸山派の絵師、父が西陣で着物のデザインをしていた家からも影響を受けているだろうし、陶芸の絵付けなども行っていたことが、息子が陶芸家になったということにも、影響しているかもしれない。お孫さんのもTwitterでよく見かけて、今回の展覧会の図録にも名前が見えますが、キャプションにも度々家族話が出てきたりして、加山一家!という感じの展覧会なのでした。

『月光波濤』は日本橋限定だけれど、これから各地の美術館を巡回して、横浜にも8月にはやってくる。今回見逃した方は横浜で見てもいいかもしれません。

それにしても高島屋も、デパート美術館としては、普通の美術館に巡回するような展覧会もよくやっているよね。そごうもすごい。それと比べて三越は、岡田…ペルシア…うっ、頭が…

東京駅から電車に乗って、そごう横浜へ。櫻正宗の出店が今日までだったので滑り込み。試飲させてもらった、純米吟醸「金稀」が「あ、うまい…」と思わず口に出してしまうくらい、びっくりするほど美味くて買ってしまいました。冷やでいただいたけど、ぬる燗がオススメとことで、楽しみ。櫻正宗の方、はま太郎も読んでるそうで。 横浜で櫻正宗を扱っているお店の話も出てくる12号

はま太郎〈vol.12〉―横濱で呑みたい人の読む肴

はま太郎〈vol.12〉―横濱で呑みたい人の読む肴

 

 そして、横浜では、武蔵屋のお酒はずっと櫻正宗だったからね。 武蔵屋をはじめ、横浜の市民酒場については、この本を読みましょう。

横濱市民酒場グルリと―はま太郎の横濱下町散策バイブル

横濱市民酒場グルリと―はま太郎の横濱下町散策バイブル

 

 武蔵屋行ったことあります、とか、御影の蔵めぐりしたことあります、なんて会話を、櫻正宗の方としておりました。 

そごうからバスに乗り、花咲町まで。浜とんのB-SIDEでちょっと飲み。田酒、久しぶりにのんだけど、やっぱり美味いよね

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軽く飲んで帰宅し、また明日は月曜日、明日からお仕事がんばろう…と思うのでした。

在華坊(@zaikabou)/2017年03月05日 - Twilog