見てください、この大きなカニ!
小吃でちょっと楽しむ中国料理ももちろん楽しいのだが、結局のところ、中国料理の神髄を味わおうとすると、大人数できっちりプランニングして、仕入れから仕込みから手を掛けて貰って宴会をするしかないところがあり、コロナ禍には厳しいところがある。
今回、ある方面からお声を掛けていただき、中華街の『大珍楼』で上海蟹の宴会に参加することができた。特別フロアで、10人は掛けられそうな大きな円卓に5人以下で座り、しかしこういう宴会は5人では成立しないので、十分な距離をとった複数の円卓でまとめて進行することになる。
まるでコロナ前に戻ったかのように大混雑する中華街大通り、こんな混雑は本当に2年くらいぶり!な中華街大通りに面した大珍楼は、一瞥すると食べ放題をやっているんだな、くらいの印象しか無い店だが、エレベーターで5階に上がると特別な空間が拡がっている。
中国料理、いろいろ食べてはいるものの、こういう高級店でちゃんとした宴会をしたことが無かったので、ちょっと緊張しますね…
本日のメニューは以下の通り
大閘蟹粉柿器
話梅酔大閘蟹
龍眼燉大閘蟹
大閘蟹粉排骨翅
蟹粉黄金帯子
鴑鴦蒸大閘蟹
蟹粉蒸小籠包
広東高明瀬粉
姜茶雪蛤膏
さて、前菜。
柿に上海蟹の身と味噌をほぐしたものが詰まっていて、柿も削ぎながら一緒に食べると濃厚さと爽やかな甘さが出会う…。酔っ払い蟹もでかい!
10日近く老酒に漬けた蟹、バリバリ解体しながらずっとむしゃぶりつくす。
酒に合う…みたいなことを言う余裕すら無い。ひたすら、麻薬のような上海蟹…
龍眼と上海蟹のスープもヤバい。というか何もかもヤバい。
深みのある味わいのスープに、これまた立派な蟹が半身入っていて、味がスープに相当出てるのに身も美味い。
フカヒレの姿煮が上海蟹をほぐした濃厚な海に浮いていて、一口含むと笑いが出てきちゃうやつで、なんだこれ…なんだこれ…と言いながら
馬鹿みたいに大きなホタテが上海蟹の衣を被ってさっくり揚がっていたり
大根餅が上海蟹をまるごと揚げたものと渾然一体となっていたり
上海蟹ってこんなに料理のバリエーションがあるのか!そしてここまでいったい、何匹の上海蟹を一人で食べているのか!なんで全部異常に美味いのか…!
冒頭の蒸し上海蟹は、ここで登場したのである。
サイズ感が狂っていて、大きさが伝えられない。これ、店員さんがなんとか抱えて持ってきた超大皿に載っているのである。食べながら、体の中の何かの許容量をオーバーしておかしくなってしまうのでは…と恐怖すらあった。しかし手を止められない…
見てくださいこの大きなカニ!上海蟹の大きさじゃねぇ!雌240g、雄290g、
1人で両方食べるの。ミソから白子から脚からありとあらゆる部位、上海蟹ってこんなに可食部あるのかという驚き、そしてどこまでも未体験の旨さへの驚き
上海蟹がみっちり詰まった小籠包に
オーナーの出身地、広東省の麺に
雪蛤のデザートで〆。ほんとうに贅沢な上海蟹宴会だった。また美味しいものを知って後戻りできなくなりました…
大珍楼、中華街で前を通ると、食べ放題やってる店なんだなぁ、くらいの印象しか残らないんだけど、とんでもない実力を持ってるお店で…。そういう店は他にもあるのだろうなぁ。ほんとに美味いものを食おうとすると、客側にもそれなりの心構えが必要なのだ
今回の宴会を企画していただいた、ぷーたんさん
@damarinz
に感謝!やる気と実力のあるお店と、よく理解して的確に仕切れる幹事と、胃袋とお財布を用意できるメンバーが揃って、中国料理の特別な宴会は、はじめて成立するのです