2021年に良かった展覧会、マイベスト10を記録しておく。
ブログがさっぱり書けていない1年間だったので、それぞれの展覧会の感想のリンクが張れず、Twitterへのリンクになってしまう。来年はもう少しブログを書こうと思います…
今年も見た展覧会は少なく、せいぜい40~50くらいなのでは…遠征もほとんどしなかった。なので、あくまでも自分が見た中でのマイベストということでよろしくお願いいたします。
1.東京国立近代美術館『民藝の100年』
民藝とは何か?との問いが何時迄も追いかけてくる展覧会だったし、展覧会をフックにつながる様々なもののボリュームが膨大でした。文句無しに1位です、これに関連してTwitterでも呟き倒していました
東京国立近代美術館『民藝の100年』まさかの3時間コース。民藝運動のはじめから極めて丁寧に語る、民藝の歴史の決定版のような展覧会でありつつ、周縁との関係、オリエンタリズムとナショナリズム、民藝の意味とは何か?あなた自身はどう思うのか?最後まで問い続けられる展覧会。これは必見ですね pic.twitter.com/T1XOTrlfIM
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年11月21日
1位とは逆に逆にぜんぜん語ってないんですが、俺の25年間の憑き物が落ちた年にこれを見せられて、逆に何も言えなくなってしまい。大量のコンテンツを消費し尽くした先で生まれた化け物みたいなクリエイターの姿は一つの新しい形を提示していたと思います
庵野秀明展、ものすごい情報量で、見てる方が圧倒されてしまった。エヴァンゲリオン以降の方がお客さんの反応が顕著で、あぁ、若い人が多いのだなぁ、と。DAICON関連の暴走した若い熱量にアテラレまして、疲れたけどなんか元気が出てまいりました pic.twitter.com/mrPy5DCuCp
— 在華坊 (@zaikabou) December 11, 2021
展覧会も勿論良かったんですが、東光園に泊まり、展覧会を見て、松江の建築を見て廻る、その、旅と体験そのものがとても素晴らしかったのです。松江は大好きな街だし。あと、業務出張ついでに行けたのも良かったです…
さて、皆生温泉の東光園です。菊竹清訓の傑作建築。島根県立美術館で菊竹清訓展をやっているタイミングで運良く山陰出張が生えた、しかも前泊が必要になった私は、何はともあれ、東光園の宿泊予約をしたのです。山陰出身が生じたのも前泊が必要になったのも偶然です pic.twitter.com/2FGP0rV9c8
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年2月23日
4.東京都現代美術館『マーク・マンダースの不在』
何が良いのかと問われると、正直よくわからない。しかし、なにやらモヤモヤして正体の分からなかったものがそこに実在しているかのような、不安感の体験が唯一無二であった。ちょっと他で感じたことのない体験でした
東京都現代美術館『マーク・マンダースの不在』想像していたよりも凄く良い。ライゾマ見に行く人はセット券を買って入るべきです。心に抱えたぼんやりとしたモヤモヤがそこに実在している、不在の不安の実在とでも言うか。心が揺さぶられる、という意味では今年一番かも。ライゾマとの落差も激しくて… pic.twitter.com/ZhYSvAbwF8
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年4月10日
5.ホテルニューアカオ『Standing Ovation 四肢の向かう先』
作品というよりあの建物そのもの…ではあるんだけど、作品そのものも存外良かったんですよね、特にメインダイニング。イベント全体として葉っぱやってそうな空気感と寺田倉庫から来た人と熱海という枯れてるけどポテンシャル秘めた観光地、そのへんの不協和音が良かった
先日営業終了した、熱海『ホテルニューアカオ』全館を使って開催されているATAMI ART GRANT に行ってきた。メインダイニング錦をはじめ、リゾートホテルの中に点在するアート、そして何より建物をまるごと鑑賞できて無料。写真も撮り放題、12月12日まで開催なので、急げ!https://t.co/1qnIjWewiB pic.twitter.com/MMuehlKxCD
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年11月27日
6.豊田市美術館『ホー・ツーニェン 百鬼夜行』+喜楽亭『旅館アポリア』
正直、なんかこなれない手付きへの疑問とか不信感とかはあるんですけどね。粘着質でしつこい語り口に、どっかで引き込まれるものがあって。特に旅館アポリアは前回のあいちトリエンナーレ最終日に行列見て諦めたリベンジだし、見られて良かった
喜楽亭『旅館アポリア』豊田市美術館『ホー・ツーニェン 百鬼夜行』を続けて見て、かなり胃もたれ気味だった。ガタガタと揺れ続ける旅館、傍から聞こえ続ける妖怪の雄叫び、変奏しながら繰り返し現れるモチーフ、複雑に絡み合うテーマ、虚無、特攻、中野学校、妖怪、小津、虎、歌の記憶…ぐったり… pic.twitter.com/8t0tHROVvD
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年12月25日
7.練馬区立美術館『電線絵画展』
展覧会は企画者の愛と切り口次第でいくらでも面白くできるんだぞ、というお手本のような展覧会で、ほんとに楽しかったですね。練馬や板橋など、こういう企画がしっかりできる美術館を大切にしていきたい
練馬区美術館『電線絵画展』予想の3倍くらい面白かった!文明開化以降、画家や人々が電信線や電線をどのように受容してきたかを総覧して作品数も多く、東京の風景史としても大変興味深いし、ガイシの造形美まで詳しく言及されてて、非常に充実した内容。今年の記憶に残る展覧会になります、是非行こう pic.twitter.com/UngvU5ECZW
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年3月6日
とにかく、動く歩道の勝利。最初に聞いた時はなんの冗談かと思ったけど、あんなに快適な鑑賞体験が得られるとは。そして元々はコロナ禍以前に企画されたものが、コロナ禍で力を発揮したというのも興味深かった。トーハクはコロナ以降の展覧会がどうあるべきかを色々と牽引している
東京国立博物館『国宝鳥獣戯画のすべて』とにかく全力で鳥獣戯画を見せるぞ!という展覧会。そして動く歩道が体感すると実に良い。甲巻にじっと顔を近づけたまま、余計な動き無しに巻物がスーッと流れていく、原点に還った理想的な絵巻物鑑賞なのでは。この動く歩道体験のためにくる価値がある展示です pic.twitter.com/b6yDBpOasK
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年4月17日
9.横浜ユーラシア文化館『横浜中華街・160年の軌跡』
移民が異国の地で暮らしの基盤を確立して暮らしていくとはどういうことなのか、そういう大きなテーマもしっかり受けとめていた。最後に語られる、中華街に生きる人達の語りに元気も貰える展覧会でした。コロナ禍に耐えて、中華街、今日も賑わってました
横浜ユーラシア文化館『横浜中華街・160年の軌跡』中華街の成り立ちと盛衰、日本における華人社会の変遷、飲食に限らず茶商や漢方や楽器など幅広い中華街での商売、中華街に纏わる多様なルーツの人々の生き様など、予想を遥かに上回る濃過ぎる内容で、舐めるように資料を眺め長時間。これは大変お薦め pic.twitter.com/1R3Hqs75pa
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年4月19日
10.東京国立近代美術館『あやしい絵展』
絵画鑑賞体験そのものとしては今年で一番良かったと思う。あやしい絵と称して女性が描かれた絵画ばかりが並ぶ意味とか、もう少し踏み込んでほしい部分があって、しかし、考えるフックは提示されていたのは悪くなかった
あやしい絵展、「あやしい絵」と称してほぼ女性を描いた絵ばかり並べることについては、いちおう、言及があったのは良かったです。もう少し、踏み込んでも良いとは思うけど pic.twitter.com/xYkzVZpLKy
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年4月4日
次点はステーションギャラリーの福富太郎…というか、あやしい絵展より展覧会全体としては好き。オープンすぐ閉めてしまった不憫な展覧会だった。1人のコレクターの執着をギュッと詰め込んで、コレクションの醍醐味があったな。福富太郎は学生時代のバイト先の上野文庫の上得意で、そのころ知ったな
東京ステーションギャラリー『コレクター福富太郎の眼』キャバレー王の審美眼で蒐集した、華があるような、どこか退廃的な、怪しい雰囲気を漂わせた美人画がぎっしり並んだ展示室がとても濃密。近代日本画や戦争画含めて、コレクションの醍醐味、という面白さがあった。しかし2日開けてすぐに休館… pic.twitter.com/Chx2FtG8VT
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年4月25日
あとは順不同ですが、葉山のベーコン、目黒の包む、都現美の石岡瑛子、サントリーのミネアポリス…あたりが印象に残ってます。そして去年の8位にあげた横浜美術館のトライアローグ展、今年の2月に長期休館に入った横浜美術館、2023年の再見を楽しみにしています
最終日の横浜美術館でした pic.twitter.com/89kIeombA2
— 在華坊 (@zaikabou) 2021年2月28日
今年はまったく海外に行けなかった年なので、来年は海外の展覧会も見たいですね
2022年は2021年に中止になった大地の芸術祭があるはず。そしてあいちトリエンナーレと瀬戸内もあるはず。あちこち無事に行ける年になりますように
去年までのマイベストはこちらとなります。