日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

10月を迎えて

無事、9月を乗り切った。3月もひやひやしながら乗り切った。しかし、どうも不味い。このままではどこかで崩落するかもしれない。ということで、もうすこし行き当たりばったりではなく、慎重に生きる人間になろうと思う。少なくとも仕事の上では。
そんな10月。夕べ10時過ぎに寝てしまったら4時に目が覚めた。もう一度寝る気にもならなかったので、一人でフェリーニの『8 1/2』を飛ばし飛ばし鑑賞。人生は祭りだ。8時過ぎに朝飯を食べて、美容院へ。なんとなく唯々諾々と言われるがままに任せていると、毎回違う髪形になる。それもまた良し。東横線みなとみらい線で元町中華街駅に出る。

横浜トリエンナーレ2005


そんなわけで、お待ちかね、横浜トリエンナーレ2005である。山下公園脇の入り口で3500円也のフリーパスを購入、これで会期中は何度でも入れる。ビュランプロムナード
を通り過ぎると、いよいよ会場、まさしく倉庫。倉庫以外の何物でもない。以下、まとまらないので、箇条書きで書かせていただく。
●どこかにも書いてあったけれど、まさに「文化祭」「学園祭」の雰囲気。作品の裏ではまだ作品製作が行われていたり、裏のスタッフルームがよく見えたり、スタッフ(ボランティア)の人たちが作品の解説をレクチャーされていたり、とにかく会場構成がベニヤやら鉄骨やらむき出しだったり。ディレクターの川俣正さんの作品がそういうものである、ということをある程度知らないと、「なんじゃこりゃ」という第一印象を抱くはず。
●それでも、奈良美智の作品や高嶺格の作品など、当初未完成だった作品も、週末あわせで完成していた。とりあえず、完全に製作中、の作品は無い模様。
●とにかく会場全体が「製作中」「工事現場」の雰囲気。あと、会場を掃除している人が散見されたのだが、会場の雰囲気に押されて、掃除自体がなにかのパフォーマンス、インスタレーションなのかな?と思ってしまう。(実際には、完成したばかりの奈良美智の作品の掃除とか、ひっくり返してしまったグラスの片付けだったのだが)
●んで、全体として雰囲気がぐだぐだっぽいので、「会場内写真撮影禁止」がまったく守られていない雰囲気。スタッフ(ボランティア?)も頼りない感じがするし、大丈夫かなー。
●作品を鑑賞している人の気などおかまいなし、と言う感じで、場内放送がガンガンかかる。これも演出の一種なんだろうか。
●2001年の横浜トリエンナーレに比べると、一回入ってみて「美術展を見たなー」って満足度は落ちると思う。それでも、全体の雰囲気は色々と面白い(一貫性がある)し、考えさせるものがあるし、なにより倉庫と言う場所が良い。
●「静寂が訪れると灯りが燈る」という、所謂「天使が通る」を体験する作品があるのだが、隣の中国の作品がうるさくて、もしかしたら、会期中、一切灯りが燈ることがないかもしれない。なんだか政治的な寓意なのか?
●上記を含め、作品間の仕切りが明確でないため、意図しない干渉をし合っている作品が多い。喧嘩しちゃってる。そのあたりも含めて今回のテーゼが示されているのか?予期しない自体に怒っている作家もいるかも…。
●寛いでいってください、な雰囲気の「ソイ・プロジェクト」の作品とか、会場内にカジノみたいなものを作ってしまった「キュレーターマン」とか、タイの人の作品が猥雑で会場の雰囲気に合っていて面白い。
●「タニシK」という人、架空の航空会社のフライトアテンダントになって、通勤路線でお茶配ったりする、というパフォーマンスをしている人なのだが。実は大分前に開場前の開場を訪れた際に見た、カートに乗って「本会場まで行かれます?」と聞いてきた怪しい人が本人だったのだ、と知ってびっくり。あの時、「そうです」と答えたらカートに乗せてくれたのかしら。惜しいことをした。

ここに立っていたら、会場方面から電動カートに乗った警備員…だと思う、ミニスカポリスのなりそこないみたいな格好をしたおねえちゃんがやってきて「本会場まで行かれます?」と聞くのであわてて否定してなんか謝ってしまった。
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20050911#1126429228

高嶺格という人の作品が、一番完成度が高い(というか、ちゃんとしている)印象。暗闇の中を階段を上っていって、万博のパビリオンみたいな一種のショーを見る作品。もう一度じっくり見てみよう。夕方に再訪したときには、行列が出来ていた。
●駆け足で見て廻ったら2時間ぐらいだったが、一回でしっかり見ようと思うと、やっぱり3時間ぐらいかかるかしら。食べ物は割合安く提供されて居るので、のんびり見るのがいい感じ。横浜やベイブリッジの景色も綺麗だし。とにかく、居心地は良い。
●カタログの川俣正の文はなかなか読ませた。あと、会期終了後、カタログの第二弾を出すらしい。それだけ、会期中にいろんな変化がある(あるいは、変化や展開を期待している)ということなのだろう。
●スタンプラリーでスタンプが5個集まったので、Tシャツを貰った。かわいい。

●本会場は入り口から700mほど離れているので、帰りは無料の送迎バスに乗った。平日は15分感覚、休日はその倍運転している。

横浜オクトーバーフェストへ

トリエンナーレの会場を後にして、山下公園を抜けて馬車道の駅で母と妹と待ち合わせ。「横浜でドイツのビール飲めるよ」と言ったら、一緒に行くことになった。赤レンガ倉庫まで歩くと、2号の倉庫の前に大型テント。これが横浜オクトーバーフェストの会場となる。10月の10日まで、毎日開催中。
今年で3回目と言うことだが、さすが、日比谷のに比べてちゃんとしている(過去2回を知っている人にとっては、あんまり良くなかったらしいが)。まず、座るところが沢山ある。テントの中は混んでいるものの空席が無くもなく、外に出ればかなり空いている。

ビールもあんまり並ばない。ドイツのビールが3種類。「何があっていくらなのか」という表示がとてもわかりやすい。また、グラスはデポジット製で1000円払うようになっているのだが、そのシステムについて掲示などで詳しく説明してあるし、係員のお姉さんも親切に説明したり、食券の販売をしたりしてくれている。2時前に入った頃はそれなりに混んでいたが、列の捌きも順調にしていた。

食い物も、ドイツの食材屋が出ていたほかに、鎌倉ハムなどの出店もあって種類は豊富。まあ、あんまり、ドイツの食べ物、という色は薄かったけれども。ドイツビール以外にも神奈川の地ビールが4種類、それからキリンの生やエビスの生があったりして、気分を盛り上げてくれる。
ずっと外に居たのでイベントの様子は良く見れなかったが、とにかく、ちゃんと食えて飲めるってことは偉大だ。日比谷のイベントに比べればはるかにしっかりしていたし、同時開催でドイツワインの試飲会もやっていたし…。ビットブルガーとエルディンガー、それから地ビールなど飲んで、ソーセージとグラタンなど食べて、炎天下に出ていたのでかなり日焼けした気がしなくもないが、かなりいい気分になる。
それから、海上保安庁の巡視船を眺めた後、なぜか山下公園までシーバスで出て、県民ホールの英一番館でお茶飲んで解散する。

戻って、ビュラン・サーカス

それから、再びトリエンナーレの会場へ。28日から今日まで、夕方に、「アートサーカス」のビュラン・サーカスの公演があるということだったので、午前中に整理券を貰っておいたのだった。
まだ時間が早いのでもう一度会場を眺めていると、今日は18時で追い出しますから、としつこく放送している。どうも、閉場後、HERMESエルメスのイベントを何かやるらしい。海沿いにはテントが張られて中では飲み物や料理の準備が着々と進行中であり、

建物のなかでも、ところどころで飲み物のグラスが積み上げられ、黒服が忙しく立ち働いていた。会場借り切るのにいくら払ったんだろうかね。招待客以外には縁の無い話なので、18時を過ぎたらさっさと会場を出て、サーカスの会場となる、入り口付近の特設ステージへ。

概ね整理券の順に入場して、サーカスである。

このサーカス、綱渡りや空中ブランコなど基本はちゃんと抑えた普通のサーカスであった。もっと破天荒なものかと思っていたのだが。まあ、オーソドックスだが基本に忠実で、技術はそれなりにしっかりしていて、片付けるところまで芸の一部として見せてくれて、やる姿にユーモラスな、というか、どことなくマヌケ感が漂う。この感じが何かに似ているな、とよくよく考えたら、寄席で見る太神楽であった。以降、アートサーカス=オサレな太神楽と認定することにした。
そんなこんなで、20時ごろに帰宅。