日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

国立近代美術館『ドイツ写真の現在』

日曜日も懲りずにお出かけ。渋谷から銀座線で表参道、半蔵門線で九段下、東西線で竹橋まで出て、国立近代美術館へ。
日本におけるドイツの一環で開催中の『ドイツ写真の現在』にまずは入場。大御所から新進気鋭まで、10人の写真家による展覧会。入り口入ると、まずはベッヒャー夫妻の萌え萌え写真の先制パンチ。採掘塔の15点組写真、砂利工場の15点組写真に、鉱山だの給水塔だの溶鉱炉だの、あのモノクロで緻密でどこまでも素っ気無い撮り方でワクワクどきどきが抑えられない、ぶっちゃけ本当にもう萌え萌えとしか言いようの無い、お好きな方にはタマラナイ素敵大プリントの17連発。日比谷図書館で初めてベッヒャー夫妻の溶鉱炉の写真集を見たとき以来の大興奮。これだけで十分元は取った。やっぱり大プリントは良いわあ。
次の、アンドレアス・タルスキーの写真も良い。香港証券取引所や巨大牧場のダイナミックな遠景写真に釘付け。
これ以外にも、紙で原寸大の建築を作って写真にしたり、旧東独地区に作られた道路や橋、廃墟からスタジオに持ち出された家具を並べた写真、その他、いやまったくもってドイツ、何をしてドイツかと問われると答えに窮するが、とにかくドイツとしか言いようの無い作品の数々に大変満足する。最後にあった、絵なのかな?というように不気味に綺麗な子供の写真も凄い。子供の無垢性を追求して皮を剥いていったら、最後にグロテスクな抜け殻が残ってしまったよ、というような恐ろしさ。それにしたって、人形みたいに綺麗に撮れる西洋人の子供ってのはナンなんだろうね。
とにかく、キョダチクの皆様におかれましても、これは行って損は無いのではないかと。

常設展と、『アウグスト・ザンダー展』も

チケットは650円(割引券を持っていれば600円)で、常設展と特別展の分もくれるので、こちらも見学。常設展では横山大観の「生々流転」を半分だけ展示してあり、残りの半分を展示する来月分の入場券もくれた。サービスのいいことである。雨が、川になり、再び空に戻っていくまでの流転を描いた巻物で、横山大観にしては、力強さというよりも、流れるような美しさの作品。常設展のほうでもドイツ関係の作品が結構おおく、ゲルハルト・リヒターの不可能物体の写真とかあった。
アウグスト・ザンダーは、1930年ごろに、ドイツのさまざまな職業の人のポートレートを撮り続けた人。とにかく、大学教授や国会議員に始まって、農夫、職人、清掃婦、失業者に至るまで、その面構えの威厳に溢れ立派なことよ。自分の職業に対する誇りがにじみ出ている。あんまり人物写真って面白いと思わないんだけど、これは感心した。
工芸館のチケットも一緒に貰って、こちらはちょっとパスしたけれど、とにかく600円でお腹一杯になれて、大変満足度の高い展覧会であった。

丸の内まで

建物を出て、併設のレストランを覗いたが混雑していたのでパス。ミュージアムショップを冷やかした後、内堀通りを進み、和田倉噴水公園を抜けて、歩いていくと丸の内仲通りがなにやら騒がしい。なんだろうと見てみたら、江戸天下祭というのをやっていて、神輿と山車の行列であった。しかも民謡流しまで。平成の御世に丸の内で民謡流しが見られるとは思わなんだ。
三菱電機のビルにある「113de」という店で昼飯。コーンビーフを挟んだサンドウィッチとスープとサラダのプレート、それから飲み物で1050円。これはなかなか美味く満足。
店を出るとまだ行列中で、本体がようやく到着しようかというところ。行列を遡上しながら順に見ていくと、まずはみこしばかりが九基。千代田区内で九基も神輿が出せるとは。そんなに働き盛りの人間が住んでいるのだな。秋葉原とか外神田一丁目の神輿もあった。

神輿の後に、山車が続く。三番町の山車は東郷平八郎…なんだけど、妙に人形がちっちゃいぞ。それにしても、三番町に住んでいる人って、公務員かよほどの金持ちかどっちかだよなあ。

これらに続いて、なんだか格の違う大きな山車が続いて、おお、迫力があるなあ、と思ったら、他所の地域から応援で連れてきた神輿であった。町内から4つ、他所から8つ。これは、熊谷市の銀座というところの山車だそうな。

掛川の山車は、二つの山車がまっすぐ進まずににじるように進むので、なかなか迫力のある面白い神輿であった。
ここから地下鉄に乗って、六本木で東京国際映画祭の閉会式を眺めたのち、帰宅。

田山花袋の話となると黙っちゃおれん

…20代中盤を過ぎても恋愛未経験だったという花袋の童貞時代にスポットをあてたいと思います。
「暗く、陰気で、外に表せない憂愁や苦悶で胸が一杯になっていて、黙ってむっつりしている」Tこと田山花袋
http://media.excite.co.jp/book/daily/thursday/025/

アテクシ、産まれてこの方19年ほど、人に似ていると言われたことがございませんでしたの。初めて似ていると言われたのが大学一年生のころですか。ええ、まあ、童貞のころでござんすのよ。その先輩(訒小平の長女にそっくりなんですが)から「君はね、田山花袋に似ている」と言われて、まわりもみんな「なるほど、似ている似ている」と大納得で、ええ、もちろん、教科書の端っこで花袋のご尊顔は拝したことはあったので、あまり褒められていないことは重々承知でしたけれども、改めて見てみると
http://art-random.main.jp/samescale/050/058-k-tayama-2.jpg
ああ、似ている似ている。こんな顔でした当時。その後ちょっと顔も変わったので今はこういう顔ではないんですけれども、田山花袋の写真を見る度、少なくとも女性と言うものには全く縁の無かった中学高校時代を思い出して冷静ではいられなくなるんですの