日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

GAgallery『JEAN NOUVEL 3Buildings』

7時起床。昨日、泳いだので体が痛い。家でお休みしようかと思ったが、昼までのんびりして、出かける。原宿で降りて、GAgalleryへ。ジャンヌーベルの建築展をやっている。
今回展示してあるのは(展示と言っても写真と図面だけだが)、パリのセーヌ川沿いに最近オープンしたばかりの「ケ・ブランリー美術館」、それからアメリカの「ガスリー劇場」とスペインの「レイナ・ソフィア国立中央美術館増築棟」。ジャン・ヌーベルといえば、日本では汐留の電通本社ビルが有名で、ガラスを特徴的に使った建築というイメージが強いが、今回は少し違う。
特にパリの「ケ・ブランリー美術館」。元は植民地美術館にあったアフリカなどのコレクション、民俗資料を集めた新しい美術館で、一歩間違えば植民地主義の亡霊が蘇ったような、元祖博覧会的な美術館になりそうなところ。テーマを「文明の対話と融合」においたその美術館の建築も、綺麗な箱の中に展示物を押し込めるのではなく、展示物を引き立たせるために、「聖なる森」としての機能のために…というコンセプトだそうな。
で、その写真を見ると、内部はうねうねとうねるへんな壁で構成されていて、なんだか安っぽいテーマパークに見えないこともないのだが…。雑多で有機的なイメージの融合体というか。まあともかく、これまでとは印象の違う作品群が眺められてなかなか面白かった。
ぶらぶら歩いて、初台方面に向かう。

東京オペラシティアートギャラリー『伊東豊雄 建築|新しいリアル』

初台の吉野家で豚キムチ丼と生野菜で昼飯を済ませ(しかし、最近、ファーストフードの女性店員に中国人が物凄く多い…)、初台の交差点は絶賛工事中。首都高速中央環状新宿線ですね。

東京オペラシティアートギャラリーへ。伊東豊雄の建築展のチケットは、こないだ新宿のチケットショップで買ったのだった。
http://www.operacity.jp/ag/exh77/
台湾の《台中メトロポリタン・オペラハウス・プロジェクト》の計画、それから岐阜の《瞑想の森 各務原市営斎場》を一部原寸大に再現した模型。伊東豊雄の建築物は、有機的なうにうにした外壁だったり、一件無秩序なパターンの組み合わせであったりして、完成したものを見るとまるでそこににょきにょきと生えた植物、動物であるかのよう。
しかし、力学的に綿密に計画されたその構造物の、建築現場は見たこと無いような工法、まるで工法の実験場のような有様を呈している。伊東豊雄せんだいメディアテークの建築現場で感じた、鉄筋が舞い、溶接の火の粉舞い飛ぶ、その現場のダイナミズムってのが、今回、伊東豊雄の展示コンセプトのひとつであるらしい。各務原の斎場の屋根は、白い鉄筋コンクリートがうねっているのだが、その建築、というより土木工事の映像にしばし釘付け。
そんなわけで、次の展示室に移動する。靴を脱ぐ。そこは、その屋根を再現したような白いうねる床面に、いくつかの作品の模型の展示。白い壁には原寸大の図面、モニターでは工事現場の映像。そして、なぜか音楽は石川セリ。おお、これは楽しい。皆さん、思い思いに座ったり歩き回ったりしながら、展示物を眺めていた。素敵な空間。石川セリが歌う『死んだ男の残したものは』…谷川俊太郎の作詞ですね…を聞きながら、スペインのスパリゾートの模型を眺めたり、銀座のブランドショップの建築現場映像を見る不思議さよ。白い壁一面に拡がる図面が、実にもう、お好きな方にはたまらない感じで良いのだった。
せんだいメディアテークの建築現場の映像も面白く、なんというか、大手ゼネコンや建築関係の学会が揃って後援しているのも頷ける、面白い展覧会だった。出口付近の廊下に展示してあった伊東豊雄の事務所の歩み、ってのも面白く、せんだいメディアテークの使いにくそうな設計に美術関係者から不満が…という新聞記事への反論原稿とか、面白いものがいろいろと見れた。この展覧会は、昨日の大竹伸朗と併せてこの秋のおススメです。
収蔵品展もやっていて、こちらは『ブラック&ホワイト−黒のなかの黒』という企画。川内良介の絵が良い、ってか部屋に一枚欲しい。

ICC『コネクティング・ワールド』

ついでに、ICCで開催中の、再開後初めての有料展示会も。このチケットも金券ショップで買ったのだった。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2006/ConnectingWorld/index_j.html
うふふ、これはですねえ。面白いですよ。ネットにあったら、あっという間に『これはすごい』『ネタ』タグがついて、ブクマが100以上集まりそうな素敵なネタばかりですよ。
まず目を惹かれるのが『事の次第』という映像作品。要するにピタゴラ装置の映像なのだが、延々30分間連鎖し続ける。で、この連鎖ってのが、ピタゴラ装置のような「かわいさ」が微塵も無い。とにかくやってることが荒っぽい。計画は綿密なはずなのに。
割れる風船!飛び散る油!燃え盛る炎!転がるタイヤ!噴出す花火!溢れる煙!うねる炎!注ぐ油!倒れる机!溶ける角砂糖!拡がる炎!走るヤカン!崩れる家具!噴出す油!暴れる炎!炎!炎!どんだけ火が好きなんだ!
物凄く緻密に計算されて並べられたもののはずなのに、物凄く荒っぽくて、ピタゴラ装置ダークサイド、って感じ(こっちのほうがはるかに古いんですけどね)。あんまりな乱暴さに、見続けているとだんだん笑いがこみ上げてきて、げらげら笑いながら見ていた。
http://inner-dog.no-blog.jp/inner_dogs/2006/04/post_224f.html
こちらに情報が。googlevideoからは無くなっちゃったみたい。残念。DVDは出てるんですね。

Way Things Go [DVD] [Import]

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リージョンコードがアレだけど。
エキソニモの『OBJECT B』。パソコンで操作するガンシューティングみたいなゲームなのだが、立方体の4面がスクリーンになっていて、1つだけ人間の操作用、残りの3つは機械用。この機械ってのがふざけていて、ガラガラガラガラ馬鹿みたいに音を立てながら廻る工具箱の蓋に煽られてドライバーがばちゃばちゃとキーボードを乱暴に滅茶苦茶に打っていたり、振動する台の上でマウスがてんでばらばらに動いていたり、それで操作しているわけで。無意味に馬鹿でかい音を出す装置が無意味に操作しているのを眺めていると、これも笑いがこみ上げてくる。牛島達治に通じる世界。
『un_wiki』という作品は、Wikipediaから削除された文言を拾ってきて、順番に表示されるスクリプト。画面にずらずらと文字列の断片が出てくるのだが、『あの及川奈央は反則です』って、どんな及川奈央だったのだろうか。
『goo検索キーワードストリーミング』は、gooで検索された文字列をリアルタイムにひたすら表示するのだが、アダルト系の単語がまったくなかった。どうやって排除しているのだろう。あるいは、なにかのデータベースに登録されている単語しか拾っていないのだろうか。涼宮ハルヒは出てきたが。
『GWEI-Google Will Eat Itself』は、Google AdSenceを利用してサイトに広告を埋め込み、そこからの収入でGoogleの株を自動的に買い続けるプログラム。『Googleが自らを食べ尽くす、という自己言及的なループが展開されます』だそうだが、うーむ。
この展覧会、創造的コミュニケーションに向けて、という副題がついているんだけど、これが創造的コミュニケーションなのかどうかはイマイチ不明であるけれども、とにかく面白いことは確か。お好きな方はどーぞ。無料の展示スペースのほうにも相変わらずアホらしい(誉めてます)メディアアートが山盛りだった。

新宿に出て

建物を出て、新宿のほうにぶらぶら歩いていたら電話。飯を食うことにする。道沿いの店を冷やかしながら歩き、南口で待ち合わせ。ジンロガーデンで韓国料理を食う。どうも、「焼肉屋」ではない韓国料理店というのは、焼肉はあまり食べなくても良いらしい。料理は結構いけた。誕生日のプレゼントをいただく。ありがとうございます。
ロフトプラスワンに行くのに丁度良いくらいの時間だったが、どうにも疲れてしまったので、今日は帰宅することにした。

音楽との出会って、どうやって見つけてるのか皆さんは

伊東豊雄の展覧会で聴いて良かったので

翼 武満徹ポップ・ソングス

翼 武満徹ポップ・ソングス

買おうか知らん。というか、これまで石川セリって知らなかったんだ。井上陽水の奥さんなんですね。
しかし、なんで、初めてきいていいな、って思う人って昔の人(過去の人って意味じゃなくて)ばかりですか。もっと音楽を聴く機会を増やせば、いろんなものと出会えるんだろうけれど。
どうすればいいのかな。イマイチ、方法がわからない。

シンポジウム『ポストバブルの建築シーン』

東京都写真美術館でやる『パラレル・ニッポン 現代日本建築展 1996-2006』の関連で、シンポジウムをやるそうな。で、日程が11月9日、時間が18:30-21:00、場所がアークヒルズ国際交流基金国際会議場。
パネリストが三宅理一、三浦展藤森照信ヨコミゾマコト、米山勇。下流社会三浦展先生が何をしゃべるのかちょっと興味があるので、行ってみようかしらん。
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/news/0609/09-04.html


本当は、こっちのほうが行きたかったんだけどね…。見逃していたよ。

帰国報告会 「藤森建築と路上観察:誰も知らない日本の建築と都市」
http://www.jpf.go.jp/venezia-biennale/arc/j/10/06.html

ヴェネチア・ビエンナーレ建築展の帰国展は、来春にオペラシティでやるそうな。