この映画は男には好かれるが女にはわからんだろう、と勝手に考える男の自意識の加減を女に呆れられるためのツール。
日本人の妄想する、いかにもヨーロッパな「かっこいい」の概念と記号。たとえば「女は年をとるほど綺麗になる」というテーゼ、「『さらばアドリア海の自由と放埓の日々よ』『それバイロンかい?』『いや、俺さ‥』」という会話、「飛行艇乗りほど気持ちのいい奴らはいないって‥」、愛する女のためには命を捨てるという生き様、イタリアな大家族、ファシズムに傾倒する国家へのスタンス、アメリカに対する微妙な感情。
しかし、そこに「結局フィオ、要するにロリコンじゃん」というのと「豚、語りすぎ」という、宮崎駿だからしょうがないけどなあ、というどっちらけ要因が絶妙にからまって、ちょっと恥ずかしい映画になってしまった、という。
え?私?もちろん大好きですよこの映画。