日毎に敵と懶惰に戦う

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森美術館『ジョン・ウッド&ポール・ハリソン』内覧会

夕方、森美術館の、『世界各国の才能豊かな若手アーティストを個展形式で紹介する「MAMプロジェクト」』の一環として開かれた『ジョン・ウッド&ポール・ハリソン』の内覧会に足を向ける。
ご案内をいただいた時点では、牛島達治的な、無意味に動く機械的なものを予測したのだが、もっと人間臭い。子供の遊びを大真面目に高いクオリティでやっている、というような作品。ただし、三次元の物体を二次元に落とし込むことによる映像的なトリックを援用しているのだが、しかしある程度以上の映像認識能力を持った人の視点だと、別にトリッキーではなく、実に下らない遊びを延々とやっているように見える。そこに現れる不条理というか不可思議というのはつまり、明らかに『無意味』な動きに対して人は無意味であるという大きな意味を見出すのであり、たとえば牛島達治の作品は崇高な無常観というものすら漂わせるのだが、今日の作品にはそれがなく、意味の片鱗を臭わせつつ梯子を外すので児戯にしか見えないのになんかクオリティ高いぜ、という苛立ち。個々の作品個別には見られる意味が、つまり意味らしいものを辛うじて見出し得るんだけれどもそれが取れてからが有限な(無限ループする映像ではなく終わりのある映像、フィルム作品なのである)範囲でもって無駄に長い、しつこい、そのしつこさに何か意味があるのかと考えているといつのまにか終わる。なんだかよくわからない、モニョるような感覚。面白いは面白かった。『笑い』展の片隅でやってます。