日毎に敵と懶惰に戦う

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最高裁判所裁判官国民審査は『1票の格差』が争点だったようだ

衆議院議員選挙の総選挙と同時に行われた、最高裁判所裁判官の国民審査。あまり話題になってませんが、以前、一度ちょっと言及したことがありまして。
最高裁判所裁判官国民審査 都道府県による違い - 日毎に敵と懶惰に戦う
都道府県によって、『罷免を可』とする割合はかなり差があるようです。さて今回、こういう団体が、それなりに活動していまして
一人一票実現国民会議
一票の格差を是正しようという話には賛成ですが、いきなり裁判官の罷免に直結しているのがちょっと不可解、賛同者の面子がいろいろ不可解…みたいな声もあるんですけどね。
まあとにかく、かつて一票の格差を巡って争われた裁判で『憲法に違反しない』という判断をした2人の裁判官を罷免しましょう、『那須弘平』『涌井紀夫』の両裁判官を罷免しましょう、という運動なんですね。
私は神奈川在住なんですが、投票日の朝、この団体が、新聞に1面使った意見広告を出していました。
で、さて、国民審査の結果はどうなったか。勿論、罷免された人はいませんでした。そして、都市部ほど『罷免を可』とする割合が高い、名前が用紙の前の方に記載されているほど『罷免を可』とする割合が高い…という傾向も、これまでと一緒でした。ですが、ちょっと特徴が。
以下の情報は、各都道府県の選挙管理委員会のwebページから拾ったものです。都道府県によっては国民審査の結果を速報していないところも多く、一部のデータだけの抜粋になってしまいますが、まあ見てください。都道府県毎の『罷免を可』とする割合です。

裁判官 東京都 神奈川県 鳥取県 福井県 沖縄県
櫻井 龍子 8.94 7.78 5.89 3.97 11.12
竹内 行夫 8.91 7.61 5.74 3.68 10.91
涌井 紀夫 11.26 10.31 5.66 3.68 12.25
田原 睦夫 8.68 7.5 5.4 3.45 10.54
金築 誠志 8.46 7.23 5.39 3.51 10.47
那須 弘平 10.96 9.99 5.48 3.5 11.82
竹粼 博允 8.41 7.08 5.19 3.25 10.17
近藤 崇晴 8.27 7 5.06 3.17 10.09
宮川 光治 8.01 6.8 4.95 3.09 9.89

東京都と神奈川県においては、涌井紀夫那須弘平の2人の裁判官の『罷免を可』とする割合が顕著に高くなっています。鳥取県においては、そのような傾向はまったく見られず、福井県ではごく僅かな傾向があります。
参議院議員の選挙において、神奈川県は1票が1番軽く、東京都は5番目に軽いです。鳥取県は1番重く、福井県は4番目に重いです。
一票の格差 - Wikipedia
1票が軽い地域においては、1票の格差についての判断を、今回の国民審査の基準にした人が、それなりの数、存在したようです。一方で、1票が重い地域においては、1票の格差についての判断は、まったく投票行動に影響を与えていません。
『一人一票実現国民運動』の意見広告が新聞に入った地域はどこなのか?ということも、影響しているかもしれません。
(追記)
沖縄の結果を追記しておきました。沖縄県は、毎回、『罷免を可』とする割合が一番多いところです。また、沖縄県は、参議院選挙における『一票の格差』から言うと、鳥取県を『1票』としたときに『0.46票』となります。(神奈川県は『0.20票』、東京都は『0.23票』、福井県は『0.75票』)
沖縄においても、涌井紀夫那須弘平の2人の裁判官の『罷免を可』とする割合は、他より高くなっていますね。しかし、乖離の度合いは、神奈川や東京よりは少ないようです。
なお、全都道府県についての詳しい結果は、総務省から後日発表されるはずです。前回、2005年の結果は以下にあります。
総務省|平成17年9月11日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調