日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

久しぶりの『武蔵屋』へ

夏至。ぼんやりと起きて、今日は暑くなりそうな、よい天気。ベランダのアサガオの伸びはますます旺盛で、ゴーヤも花が満開で、2つ目の雌花に雄花から花粉を擦り付ける。
家を出て、横浜からは7時53分の東海道線。新橋で降りて出社し、お仕事。昼飯はいつもどおりの弁当、四半期を迎える準備をいろいろ。東京の気温は32℃まであがり、館林は真夏日、などという話も聞く。本日の東京電力管内のピーク時消費電力は4129万kw。例年だったら、同じ気温なら5000万kwに迫るか、超えるところだろう。
水曜日なので、定時過ぎにあっさり上がる。こんな暑い日はそうめんが良い。桜木町で降りて、八百屋で茗荷を買い、さて、と動物園通りを歩いていれば、路地から明かりが。おや、今日は武蔵屋、やっているのか。7時半ごろで混んでいるだろうなあ、と思いながら店の前を通りかかると、なんと、手前のテーブルにはそれぞれ1人ずつしかおらず、ご相席願えば落ち着いて飲めそうではありませんか。
手元には茗荷。しかし、この機会を逃す手は無い

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左側奥のテーブルに相席させていただく。おかみさんは一人、椅子に座っており、女性3人、男性1人、若い人が元気に働いている。やはり横浜国大の学生さんなのだろうか。メガネの男性が『お酒でよいですか』と、暑いからビールを貰いましょう、小瓶で。運ばれてくる、ビール小瓶、ビールのグラス、お酒のグラス、おから、玉葱の酢漬け、ピーナッツと塩豆。
もちろん、店内には冷房など利いておらず。開け放った扉から吹き込む風と、扇風機の風が、程よく心地よい。年季の入った店内は騒々しくは無く、静かに活気がある。テーブルのはす向かいのお客さんはおそらく長い常連なのだろう、雰囲気が大変よろしく、店に溶け込んで、静かに、ゆっくり、飲んでおられる。
いまさら説明することでもないけれど。この店は看板も何も無いしもた屋で、カウンター6席、テーブル2つ、そして奥のお座敷、20人少々で満員になる小さなお店。そこに静かに人が集まって、飲んでいる。基本的に日本酒、桜正宗の燗3杯とお決まりのつまみ5品のセット。その前に瓶ビールを頼むこと、日によって別のつまみを頼むことは可能だけれど、3杯以上のお酒は出してくれない。
わきまえている客(或いは、ネットで情報を見て予習してくる客)ばかりなので、特に何も言わずとも、自然と、空いたグラスに土瓶からお酒が注がれて、順番につまみが出てきて、飲み終わるとダラダラい続けること無く、帰っていく。時代のついた、まさにこれが居酒屋だ、という店内には、いつも良い雰囲気が漂っている。
ビールをたちまちのうちに飲み干して、1杯目のお酒が注がれて、鱈豆腐が出てくる。おからの味付けがやさしく絶妙で、玉葱の酢漬けがまた美味しく、鱈豆腐の炊き具合が絶品で、ああ、しみじみ、うまい。桜正宗の燗の具合もすばらしい。正宗と言えば、やはり、桜正宗
おかみさんは座ったままで、時々、お客さんと言葉を交わし、うちわで扇がれたりしている。こんな暑い日に大丈夫だろうか。8月は暑いのでまるまる夏休みになるけれど、もっと長くとらなくて大丈夫だろうか。

お酒を注ぐのはメガネの男性の係り。土瓶からとぽとぽと注ぐ。2杯目のお酒に納豆が出てくる。この納豆が、また、うまい。すぐに空いてしまい、3杯目、最後に漬物が出てくる。ダラダラと長居する客はおらず、小一時間で出て行き、次々客が入れ替わる。少し飲んで暑くなり、手近に置いてあったうちわで、時々、パタパタ。遅めの常連さんが何人か入れ替わりに入ってくる。
小上がりに、初々しい若いカップル。別の店でこういうカップルを見ても特になんとも思わないのだけれど、武蔵屋で和やかに飲んでいる若いカップルとか、なんかもう、うらやましいというか、もげろ、というか。うぐぐぐぐ。
名残惜しく3杯目を空けて、お勘定。お決まりとビール小瓶で2700円、ごちそうさまでした。ふんわりとほろ酔い、とても幸せな気分で店を出た。ああ、ほんとうに、いつまでも続いて欲しい店
成田山別院の石段経由で帰宅し、ほろ酔い気分のまま、都はるみを流しつつ、洗濯、掃除、片付け、皿洗い、洗濯物を干して、音楽はソウル・フラワー・モノノケ・サミットに変わり、風呂に入る。おやすみなさい