広州でおはようございます。
今回、宿泊しているのは『広東勝利賓館』というところ。広州は大河珠江沿いに発展した街だけれど、その珠江に突き出した『沙面』は長崎の出島、横浜の関内的な場所で、外国との貿易が許された唯一の場所だった。
今でも沙面は西洋建築が並ぶ静かな雰囲気を保っており、その中にあるのが、今回宿泊した『広東勝利賓館』である。ホテルの歴史はこのあたりを読んでほしいのだが
http://www.vhotel.com/category/2578
このホテルには東館と西館があり、今回泊まった西館は、もともと香港上海銀行(HSBC)の建物だったところ。100年の歴史のあるこの建物、内装はかなり綺麗にしてあって、バルコニーもあるお部屋は1泊8000円くらいだった
バルコニーからの眺め
ホテルの中はかなり改装されているけれど、歴史ある雰囲気を楽しみたければ、この西館を選んだほうがよいでしょう
では、今日も元気に、社会主義核心価値観を見ながら出掛けましょう
まずは沙面島をぶらぶら。木が多くて静かな雰囲気、お散歩している人がちらほら
こういうとことにはもちろんありますね、おしゃれスタバ
中華圏のスタバと言えば、これからの時期、贈答用の月餅が並ぶのだけれど
いちばん小さい6個入りで338元、6000円近くするのだから、お高いですわよ…。珠江沿いにも出てみれば、公園で寛ぐ人たち、ここでも太極拳のみなさん
今日も暑くなりそうだね
さて、あさごはん、広州に来たからには、朝からやはり飲茶でしょう。『広東勝利賓館』東館にある『西関粤』は朝の飲茶の評判が良く、8時半の開店とともに席が埋まり始める
窓際の席に案内してもらえて、さて注文。香港や広州の飲茶の店は、昔ながらのワゴンで運んでくる店ってもうあまり無いのだろうか、最初にお茶を口頭で頼んで、食べ物は紙に書く方式がほとんどですよね
この、最初はお茶は口頭で頼む、というのが存外難関で、メニューが無い場合が多いのよな。大抵はプーアルか鉄観音だから、飲茶でお茶を頼むようメモを用意しといたほうがよいのかしら
ちょっと多すぎかな…と思いつつ、いろいろ注文し。大根餅のXO醬炒めとか、カイラン菜の湯引きとか。この時期はカイラン菜が旬なのか、市場にもたくさんあったなー
もちろん腸粉もいただきますよ。蟹の子がのったシウマイも美味い。
お粥の出汁加減がすばらしい…とても上品なんだけど、なんでこんな味わいが出るのだろうという
スペアリブに入ってるかぼちゃがすごくうまかったり
香港よりも、より薄味というか、広東料理は素材の味を引き出す系なのだなー。ドリアン入りのお菓子も美味しかった
お腹いっぱいになりました。注文した記録。各項目ごとに、数字は自分が注文する時に書いたもの、それを店員さんに渡すと一旦厨房に引っ込み、レ点のチェックがついて返って来て注文が通りましたの印。そして給仕さんが運んでくると、自分の数字のスタンプを押していく。いろいろと合理的なシステムだ
お会計はテーブルチェックなんだけど理解せずにレジまで行って混乱させてしまった。ホテルの宿泊客だと30元割引になりました。
店を出るころには行列客がかなり出来ている人気店。沙面島も土曜日とあって、観光客が続々やってくる
その島から橋を渡り
渡ってすぐのところは、中医薬や乾物の市場。大きなビルに中医薬に使う様々なものが売られる店が入っているほかに、路面にもたくさんの店が並ぶ。大量に売られた鹿の角とか、すごい
霊芝でかすぎでしょ…
冬虫夏草とか、ナマコとか、タツノオトシゴとか、なんかの蟲とか、とにかくスープにしたら美味しそうですね、というものが大量に並びつつ、なんだかまったくわからないものも多数、楽しい…
そんな中を先に進むと、こんどはペットショップが並んでいる。店先の小さい檻に犬やら猫やら、亀やらなんやら
さらに進むと広い通りに。広州の有名な通り、上下九歩行街ですね、ここは夜にまたごはんを食べに来ましょう
東西に延びる通りを越えてさらに北に進み、少し思い立って裏道に入ると、素晴らしい路地が拡がっている。歩き回るのが楽しい
こんな路地がどこまでも続いていて、何時までも迷い歩いてしまう。そしてこういう路地にもシェアサイクルがたくさん乗り捨てられているんだけれど、これは回収に来れるのか?
この方も、裏路地でたくさん写真を撮っていてよい。こういう街路、特に中国の場合、いつ突然なくなってもまったく不思議じゃないからね…
中国 広州の上下九歩行街の裏路地がすばらしい | unusual
また通りに出て歩くことしばし。広州、もちろん暑いのだけれど、上下九歩行街の南北に拡がる市場街、特に文昌路ですね、この通りは木が鬱蒼と茂っていて、けっこう涼しいのですよ
文昌路周辺は、さきほどの中医薬やペットをはじめ、家具やらお茶やら、さまざまなものを商う店が並んでいて飽きない。その文昌路を北に抜けて大通りにかかる。建築中?のビルがむき出し。地震が無いとこういう、パネル組み合わせたみたいなビル建てるよね…
このあたりで観光地らしい観光地にも行ってみましょう。広州に来たらみんな来る『陳氏書院』1890年代に『陳』氏の廟として建てられるとともに、教育施設にもなっていたそうな
で、ですね、ここのチケットは20元なんだけれど
入場するのに身分証がいるのである。中国居民のみなさんはおなじみ第二代身分証、外国人ならパスポート。この施設、数年前までは身分証明書いらなかったらしく、チケット売り場の並んでいる善良なる人民の皆さんも、身分証いるの?みたいに顔を見合わせている有様
それにしても中国、鉄道乗るのにパスポート必須だし、観光地でもパスポート必須となると、パスポートは本当に常に肌身離さず持ってないと観光もできませんな。時々、パスポートはホテルに預けておきましょう的なことを言う人いるけど、中国では通用しない
チケットを買う時と、さらに入館時にそれぞれパスポートを提示し、無事に入れた陳氏書院は、建物の細工がどこもここも細密でよかった
ぶらぶら散策して出て、また道を南にわたり。お、トロリーバスがあるね
また、市場街のほうにずんずん。ちょっとお茶で休憩。オシャレな店で、レモンをその場で絞って紅茶。広州は果物が安いから、生のフルーツを贅沢に使ったドリンクも安くて良い
これ、750mlもたっぷり入っていて15元なので2人で分けたけれど、暑い中を歩きまわっていると、1人で1つ飲んでしまってもぜんぜん良い感じ。水分補給大事。さらに南下すると、おお、生きた鴨を売っているぞ、小さいのは鶉かな。その場で絞めてくれるのかな
このあたりは生活の市場だ。野菜、果物、見ているだけで楽しい…
野菜や果物の種類の豊富さも見るのも興味深いし、ワニの切り身が普通に売っているところも、さすが広州。このバカでかい瓜的な何かは、輪切りにして量り売りされていた(そもそも、ほとんどの店において、1斤500gでいくら、の量り売りではあるのですが)
そんなお店が並ぶ中で、季節が外れているのでもう無いかな…と思っていたライチ、1斤6元で売っている店があったので、2斤ほど購入。
この量り売り、ライチについている枝も含めて図るので、時間のあるおばちゃんは店先で枝を細かく取ってから実だけ買ったりしているのだけれど、こちらはざっくりで良いです。そもそも500gで20個以上のライチを100円って、なんて安いのだ…日本ならへたすりゃ10倍するよね…
で、さて、さきほどからいろいろな市場が…という話をしているのだが、華林禅寺周辺に拡がっているのが、石の市場なのである
中国で貴石と言えば翡翠でありまして、このデカいビルの中、上階には翡翠売り場がずらりと並ぶ。特に腕輪を売る店がですね、こういうふうに、どこまでも並んでいるのですよ
中国の女性、子どものうちに翡翠の腕輪をはめて、生涯つけっぱなしにする人がけっこういる。男性の場合はネックレスなど、装飾品に翡翠。中国人にとって翡翠は特別な意味を持つ石なのですね。そして広州は、その翡翠を含む、石の一大マーケットなのです
自分はこのビルの規模にびっくりしてしまったのだが、後から気が付いたけれど、ここより巨大なビルがさらにありまして
【中国】広州の巨大パワーストーン市場『リワン・プラザ』に行ってきた! | Trip-Nomad
ほかに、路面やら屋台やら、とにかく、石を扱う店が何千軒とある。すごい。広州のガイドブックにそんな話、あんまり書いてないぞ…。そして翡翠の腕輪、あ、これは綺麗だな…と思ったもの、念のため値段を聞いてみたら、4500元とか5600元であった。10万近くするのです、それなりに綺麗な翡翠の腕輪は
別にガラスケースに保管するわけでも無く、乱雑に並べられた翡翠の腕輪がそんなお値段がするとなると、陳氏書院じゃなくてこっちのほうがパスポート提示して入ったほうがいいような気がするが…
翡翠以外にもさまざまな店が並ぶ中を楽しく見ていたら、どんどん時間が過ぎて行く。しかし楽しい。広州、市場を覗く目的だけで来ても良い街なのでは。
もうお昼もだいぶん過ぎたので、このあたりで昼ご飯にしよう。石のマーケットを出て、少し西のほうに移動。
ここにも社会主義核心価値観。社会主義核心価値観、デザイナーの実験場になっているのだろうか。社会主義核心価値観とシェアサイクルが並んでいて、今の中国!って感じですね
木が鬱蒼として、古いお店が並んでいた文昌路から、路地裏住宅街が拡がるあたりを飛び越えて、ちょっと西側に南北に通る宝華路へ。ここが、なんというか、広州の原宿的なところであり
道沿いに若者向けの服屋、食べ歩きスナックの店などがずらりと並び、土曜日ということもあって、若い人でごった返していた。それはそうと自分、台北の西門とかこことか、原宿的な…といいつつ、この10年くらい、竹下通りを歩いたことは無いんですけどね。最近どうなってるんだろう竹下通り
その路地裏、Twitterで教えてもらったお店『陳添記』へ
で、食べたのが魚皮である。
にゅるんとした皮に薬味やピーナッツや香菜がまざっていて、スナック感覚で食べられるんだけど、ちょっと苦手な人は苦手かも。すごい賑わっていて、路地一つこの店みたいになっている。二区画くらい離れたところにある同じ名前で呼び込みの激しい店もあって、そちらは姉妹店なのか、ありがちな老舗の骨肉の争いなのか
さらにもう一軒、こちらも教えてもらった順記冰室。冰室と言えば日本人には香港でおなじみの喫茶店ですね。ここではアイスクリームを
マンゴー、ドリアン、ココナッツ全部盛り。どれも素材の味がしっかりしているオリジナルのアイスクリーム、旨し。ドリンクタイプの楊枝甘露も
原宿的な若者の街…とは言ったけれど、食べ物は本格的だった。でも、カットフルーツ量り売りの店が大量に並んでいたり、中国、流行った商売の類似店が大量に増殖するところあるよね、みたいに観察するのも楽し
ずいぶんよい時間になってしまった。本来の目的地に向かわないと。本来の目的地というのは、お茶市場なのですよ。地下鉄の黄沙駅から乗って
広州の地下鉄のキャラクターなのかな、この子は。
ドイツ在住の日本人のどなたかが、実在するかどうかわからないイスラエル人教授に仮託させて、日本は幼稚なキャラクターの氾濫が云々、みたいなこと言ってましたけど。キャラクターが溢れているのは、日本に限らず東アジア全体の傾向だと思うのよね
地下鉄一駅乗って芳村へ。ところで、中国の地下鉄では必ず荷物検査があるのはあなたも知っていると思うが、上海では切符購入、荷物検査、乗車、となるところ、広州だとそもそも、駅に入るために荷物検査があるのだよ。都市によって違うのかな
芳村の駅を出たところに露店が。蓮の実を売っている。あとで食べよう、4つで10元
芳村の茶葉市場へは、液からあるいて15分ほど。さっきから日陰の場所を主に歩いていたら耐えられたけど、16時近くになっても、日陰がないと暑い…
そしてたどり着いた、芳村の茶葉市場。え、なにここは
広い通りの両側に、果てしなく、お茶に関連した店が入った巨大ショッピングセンター、巨大モール、路面店などが並んでいる
なんだかくらくらしてくる。上海で、ビル丸ごとひとつお茶の関連の店、みたいなのも見てびっくりしていたが、ここはそれどころじゃない。街がまるごとひとつお茶の店だ。何千軒の店舗がここにあるだ。広州は、なんでもかんでも、市場を一か所にまとめてしまう場所なのか?
さすが中国一、ということはつまり世界一のお茶市場、規模が違う…。ビルのひとつに入ってみても、規模に圧倒される
お茶を売る店や、茶器を売る店があるのは想像の範疇だけれど、それ以外に、茶盤ばかりが並んでいる店とか
中国茶の専門店でお客をもてなすような、茶盤が組み込まれたデカいテーブルだけや椅子だけを売っている店とか、もう、何が何だかわからなくなってくる
そんな中で、比較的安価に、お茶関係の細かいものを大量に売っている店があったので見ていたのだけれど、さきほどからの暑さ、このビルの中の熱気に充てられたのか、徐々に体調が、あれ?と言う風になってきた。
と、そこで。豪快な感じのその店の女主人が声を掛けてくれて、スイカをごちそうになったのである。このスイカのなんと美味しかったことか!これこそまさに甘露、という味だった。そしてお茶もご馳走に。
このスイカとお茶ですっかり元気になって、買い物に勢いをつき、いろいろと買い込んでしまったのでした。中でも、茶盤。40cm×60cmくらいある大きめの茶盤、560元とお求め安い価格だったので買ってしまい、そして私はその代金を微信支付で払ったのでした。
中国で一番おおきな茶葉市場で、ウェイシンで支払って買った茶盤、一生忘れることはないでしょう…。なお、こういう茶葉市場については、以下のような文章もあわせてどうぞ
第27回:「茶城」を考える | 合同会社ティーメディアコーポレーション
さらに別の店で、お土産用に蜜柑に入ったプーアル茶などを買いまして
さて、そろそろ
荷物も重いのでホテルに帰りましょう。ホテルまで地下鉄だと、駅まで歩くし、駅は荷物検査があるし、階段が多いし、たいへん。ということで、バスで帰ろう。また高徳地図が役にたってくれる。目的地までの経路検索をすると、ご覧の通り
どの路線に乗って、また、バス停からどれくらい歩くかもちゃんと教えてくれる。複数経路を教えてくれるので、バスも、早く来たバスを路線番号で判別して乗ればよいのだとわかる。便利!2元均一で安いし
バスでらくらくホテルに戻り、しばらく休憩。さっき買った蓮の実を取り出し
汕頭で買った黄皮と龍眼と、広州でかったライチを、インスタ映えな感じで
こんなフルーツが安く美味しく食べられるの、本当に素晴らしい…。最終日に香港で泊まった高級ホテルのブッフェでも、こういう果物は無かったからね…。蓮の実は、まわりの緑の皮をむくと、中に白い実がありますですよ
暑くて体力も消耗しているので長めに休憩してからお出掛け。また橋を渡って上下路歩行街へ
蓮香楼とか陶陶居とか覘いてみたけど大行列で諦めて、これまた教えてもらった銀記腸粉店で、腸粉とお粥
ファーストフードみたいな店でこれだけのものが出てくるの、立派なものだなー。安いしね。で、もう22時近くだから一日もおわり…と思うと、まだ終わらないのです。広州に来たのに下町ばかり歩いているので、少しは高層ビルとかも見ておこうじゃないですか。地下鉄に乗って珠江新城まで
さっきまで見ていたのとはまったく違う街だ。新都心の中心にある公園から、広州タワーを眺めたり
高層ビルを見上げたり
広東省博物館を眺めたり(赤くて怪しい)
そして、ザハ・ハディッドの広州大劇院…
だと思ってみていたんだけれど、大いなる勘違いで、これは日建設計による広州図書館だった!なんたること
ザハの建築は反対側にあったんですね…
そんなこんな、長い一日だったのでした。幸い、まだ地下鉄は動いていたので、ホテルに戻って、シャワーを浴びて、おやすみなさい…