日毎に敵と懶惰に戦う

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原広司展を見る

工事中の防衛庁

を横目で見ながらギャラリー・間原広司展 ディスクリート・シティへ。原広司と言えば「あの」京都駅で有名な人だが、今回の展示は南米で行なっている、実験住宅が主な話題。

「離散性という概念は、部分と全体をめぐるひとつの論理」であり、その理想形は簡単にいえば、「人が何人いようが、ありうるすべての組合せを列挙できる構造」となる位相をもつ空間である

ということだそうで、独立性を持ったユニット型の建物同士が様々な関係性、意味性を持ち、また常にその意味を変化させながら、全体として集落・都市を形成することを目指しているらしい。いっそ、ユニットそのものが内部構造的にも外部的にも可働式なら、とか考えると、今の形態であんまり突き詰める意味があるだろうか、という気もするが…

今日世界の都市に溢れている、住む場所を持たない人々に向けての、ささやかなメッセージ

ということだそうであるし、建築途中の資料も沢山展示されていて、なるべく調達しやすい、安価な材料で作ろうとしている意思が感じられたので、ああなるほど、と関心するところもあった。まとまりのない感想ですけど。
一番ビックリしたのは原広司大江健三郎が友人だということで、それはつまり大江健三郎にも友人がいるのか、という驚きと、大江健三郎と友人ということは原広司と言う人もよっぽどの変人なのだろうという…。後で同建物内の本屋で見た本に、原広司大江健三郎の対談が載っていたのだが、お互いの長口説の繰り返しでちっとも対談になっておらず、むべなるかな、と膝を打ったことである。
ここのギャラリーはTOTOが運営している。京橋にはINAXが運営するギャラリーがある。どっとも同じような雰囲気だが、展示への力の入り方はTOTOの方が上かなと思った。本の販売コーナーはINAXの方が品揃え豊富で良いな。大阪ではキリンも同じようなことをしているし、ポーラも美術館を持っているし、サントリーも美術館を持っているし、みなさん、こういう活動が好きなことである。こういう活動は、メセナに関わる一部の社員以外には、どのように受け止められているのだろうか。